【リコー、iPS細胞とmRNAによる創薬支援で強みをアピール】

RICOH

小間番号: D-12

バイオメディカル事業の拡大を目指すリコー。今回のBioJapanでは、エリクサジェン・サイエンティフィックとの共同事業である、iPS細胞の高速分化誘導技術とmRNAのCDMO事業について出展する。
今回の出展を通じて、バイオメディカル領域におけるリコーの強みを広くPRしたいとしている。

iPS細胞高速分化誘導技術とmRNA製造受託サービス

創薬支援事業におけるiPS細胞の高速分化誘導技術とmRNAのCDMO事業は、リコーが2022年7月に子会社化したエリクサジェン・サイエンティフィックの基幹技術である。同社は米国メリーランド州ボルチモアを拠点として、幹細胞関連製品の研究開発・製造・販売および合成mRNAの受託製造を行っており、2021年11月には日本法人エリクサジェン・サイエンティフィック・ジャパンを設立した。

エリクサジェン・サイエンティフィックの有する技術のひとつが、iPS細胞の高速分化誘導技術である。例えば神経細胞の場合、一般的に、iPS細胞を目的の細胞に分化させるには1~2ヶ月程度かかり、プロトコルも複雑という課題がある。同社が独自に開発したQuick-TissueTM技術は、ヒトiPS細胞から神経細胞に分化させる場合に、最短で1週間程度しかかからないという。Quick-TissueTMキットを使えば、どの分化細胞タイプでもプロトコルがほぼ共通しており、特殊な装置も不要である。
また、iPS細胞は細胞株によって分化条件や効率が異なる場合がある。しかし、幹細胞試薬キット(エリクサジェン・サイエンティフィックより提供)であれば、異なるiPS細胞株でも共通の条件で効率高く分化できるという。RNAベースの転写因子を用いるため、ゲノムへの影響を回避できる点も特長としている。

更にはiPS/ES細胞を大量に分化させたい、または自社の中で十分なノウハウがないという場合には、分化・アッセイ・受託開発サービスも提供している。顧客からiPS/ES細胞を受け取り、拡大培養や分化誘導、さらに薬効試験や毒性試験などもワンストップで引き受ける。細胞分化はエリクサジェン・サイエンティフィックが、細胞評価はリコーが得意とする技術であり、2社のシナジーをいかしたサービスといえる。

このエリクサジェン・サイエンティフィックが創業以来得意としているのがmRNA関連事業である。国内初のNGSを用いたGLP準拠のmRNA解析をはじめ、mRNAの品質試験を提供する。また、mRNA製造も請け負い、希望する配列と導入先の細胞種に応じた最適なmRNA構造を提案、製造する。細胞内で分解されにくいmRNAといった要望にも応えられることが強みだ。

同社はcGMP準拠のmRNA製造施設を国内に設立し、2021年9月に研究用mRNAだけでなく治験用mRNAの製造受託サービスも開始した。mRNA医薬品の期待が高まる中、海外生産ではなく国内生産できるのは輸送コストや時間の削減につながり、mRNA医薬品の安定供給にも貢献できるだろう。

こうした独自の技術を活用して、バイオメディカル研究をサポートするリコー。今後は創薬支援だけでなく、創薬プロセス全体にイノベーションを起こす重要なプレーヤーになることが期待される。

取材・文:GH株式会社 島田

>

来場登録はこちら(無料)