東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)は、東京大学関連のベンチャー創出機能強化のために2016年に設立された、東京大学100%出資の投資事業会社。東京大学周辺のイノベーション・エコシステムの拡大の推進を目的に、総額500億円規模の大学系官民ファンドを運用している。
今回のBioJapanでは、10月12日(水)にワークショップ「東大IPCポートフォリオに見る日米最先端の創薬活動」、10月14日(金)にスポンサーセミナー「2022年上半期ライフサイエンス領域ベンチャー活動レビュー~グローバル視点から次のトレンドを探る~」を開催。ライフサイエンス分野で最先端を切り開くパネリストとともに、日米の創薬活動と注目トレンドを紹介する。
12日(水)12時30分よりF201-202会場にて開催されるランチョンセミナー「東大IPCポートフォリオに見る日米最先端の創薬活動」では、特にバイオ系スタートアップ企業の動向に注目し、スタートアップ企業がもつ創薬シーズに国内外の製薬企業が関心を寄せていることを紹介する。
また、東大IPCが出資する3社を招く予定で、その事業内容や将来性についても発表する。国内からは、iPS細胞由来の心筋を用いて重症心不全の治療を試みるHeartseed、タンパク質分解誘導を作用機序とする新たな医薬品開発を目指すファイメクスが登壇。米国からは、マイクロバイオーム脳腸連関に注目して小児自閉症の治療を目指すAxial Therapeuticsの代表者が登壇する。
14日(金)13時よりF203-204会場にて開催されるスポンサーセミナー「2022年上半期ライフサイエンス領域ベンチャー活動レビュー~グローバル視点から次のトレンドを探る~」では、本年注目された技術や、今後予想される経済や研究開発の環境を議論する。
東大IPCが現在注目している技術としては、遺伝子治療用ベクター、脳腸連関、RNAバイオロジーなどが挙げられる。さらにiPS細胞の臨床応用など着実に進んでいる分野についても取り上げ、成熟期に向かいつつある中で見逃してはならない技術にも焦点を当てる予定だ。
パネルディスカッションでは、投資・経営・研究開発の最前線で国内外で活躍しているプロフェッショナルをパネリストとして招き、グローバル視点で2022年最新のベンチャー活動をレビューしつつ、注目すべきトレンドを探る。世界の動向を知るだけでなく、世界から見た日本の立場を把握できる機会にしたいとしている。
「国立大学自らが世界最高水準の独創的な研究開発に挑戦し、その成果を新産業の創出までつなげ、社会の発展に寄与する。」官民イノベーションプログラム(文部科学省)のこの目的の下、東京大学に設立された投資事業会社が東大IPCだ。2022年には、日本医療研究開発機構(AMED)による令和4年度「創薬ベンチャーエコシステム強化事業(ベンチャーキャピタルの認定)」にて、創薬ベンチャーに対する支援に適したベンチャーキャピタルにも認定されている。
東大IPCは大学系官民ファンドとして、総額500億円規模となる2つのファンドを通じて積極的な投資活動を行う。一つは協創プラットフォーム開発1号(協創1号) 。民間VCファンドへの投資(Fund of Funds投資)の他、民間VCの継続投資時の協調投資として、ベンチャーへの直接投資も行う。 もう一つのオープンイノベーション推進1号(AOI1号) は、カーブアウトベンチャーの創出や技術の事業化に向けた新会社設立、それらへの投資を行うなど、企業との連携強化を強く打ち出したものである。
ここ1年は海外のスタートアップ企業にも積極的に出資しており、ワークショップに登壇するAxial Therapeuticsのほか、同じく米国で新規パルボウイルス・ベクターを用いた遺伝子治療の開発を行っているCarbon Biosciences、マクロファージなどに注目し新たながん免疫療法の実現を目指すDEM Biopharmaへの出資など、ライフサイエンス領域ではプレスリリースとして発表されているだけでも3社に上る。
BioJapanを通して国内外の世界最先端の科学に挑戦するスタートアップ企業には、是非東京大学のエコシステムを活用してほしいとPRする予定だ。取材・文:GH株式会社 島田
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