小間番号: R-45
サイト-ファクトは遺伝子・細胞製剤に特化したCMO/CDMOカンパニー。遺伝子・細胞製剤の製造や開発だけでなく、品質試験や特製解析試験の受託サービスも提供している。BioJapanではこれらの事業紹介に加え、2025年4月から提供開始予定の細胞製造管理システム「CytoFactory 4.0™」も紹介する。
サイト-ファクトは、阪神・淡路大震災の震災復興事業として設立された公益財団法人神戸医療産業都市推進機構の一つである細胞療法研究開発センターが前身である。細胞療法研究開発センターでは遺伝子・細胞治療に使用する細胞製剤の品質管理の研究や、CMOとして国内外の医薬品メーカーから委託された治験品および商用製品の細胞製剤を製造してきた。
細胞療法研究開発センター時代の成果の一つは、ノバルティスファーマ社のCAR-T療法に用いるキムリア®点滴静注の製造だ。CAR-T療法では、リンパ腫や白血病患者からT細胞を採取し、がん細胞を認識し攻撃するようT細胞を改変、増殖したCAR-T細胞を患者に投与することでリンパ腫や白血病を治療する。CAR-T細胞の作製や増殖を請け負っていたのが細胞療法研究開発センターであり、2019年ノバルティスファーマによる治験終了、上市後も細胞製造の商用製造の委託を受け、アジア発のCAR-T製剤の製造所として、CMO事業を進めてきた。
こうした事業を引き継いで2023年4月に設立されたのが現在のサイト-ファクト社である。キムリアを初め、間葉系幹細胞などの遺伝子細胞製剤における治験品製造や商用製造を含むCDMO事業についても実績がある。
サイト-ファクトの特長について、事業戦略部長の久保雄昭氏は、「遺伝子細胞製剤は、バルクで大量に製造するような既存の低分子薬の製造法とは異なり、自家細胞製剤の場合、1患者=1バッチの製品になります。そのため、製造スケジュールの調整や人員配置に特異的なノウハウが必要になり、患者から採取した細胞の取り扱いには特別な管理方法、細胞に対する知識と経験が欠かせません。私たちはサイト-ファクトの前身である細胞療法研究開発センター時代からこれら自家細胞の製造や製造管理のノウハウを積み重ね、他家細胞製剤製造、また他のシーズの製造やプロセス開発に活用しています。また、当社は、自家細胞製剤製造における現場経験者が多く、同時に経験豊富な博士号、修士号取得者をはじめとして、問題が起こった際には高度な科学的知見や経験に基づいた議論を重ねることで遺伝子細胞製剤の製造の実施とその開発に取り組んでいます」と話す。
CMOだけでなくCDMOも主要事業の一つだ。「国際的なGMP基準管理下で遺伝子細胞製剤を製造するためのプロセス開発も行っています。アカデミアやバイオテック企業のラボで作成された実験プロトコールから実際のGMPに則したSOP(標準作業管理書)に落とし込むことプロセス開発も請け負うことが可能です。またコンサルティングも行っており、国内外から多くのご依頼、お引き合いを頂いています」(久保氏)。現在も、CAR-T、間葉系幹細胞やiPS細胞を用いた問い合わせが多いという。
サイト-ファクトでは、遺伝子細胞製剤に特化した品質試験や特性解析試験の受託サービスも提供している。遺伝子細胞製剤のCMO/CDMOとしてのノウハウを活用して、難易度の高い試験にも対応する。
品質試験は日本薬局方、GCTP/GMPに準拠しており、無菌試験やエンドトキシン試験、マイコプラズマ否定試験などを行う。そのシーズに特異的な特性解析試験においても、手順書の作成から、GMPレベルでの品質試験を見据えた試験系の提案、実施などを行う。当局に提出する信頼性保証基準申請書の作成、納品にも対応する。
サイト-ファクトでは遺伝子細胞製剤に関するCMO/CDMOサービスを顧客に提供するにとどまらず、遺伝子細胞製剤の製造を統合的に管理するソフトウェアを自社開発している。2025年4月から提供開始予定としているのが、クラウド上で遺伝子細胞製剤の製造プロセスを管理するソフトウェア「CytoFactory 4.0™(CF4.0™)」だ。
CF4.0™では、主要生体原材料やプラスチック製品などマテリアル全般の受け入れから細胞処理、品質管理試験、出荷まで一連の製造プロセスに加えて、在庫、施設、機器ステータス管理など、すべての工程の電子データをクラウドに収集、記録する。サイト-ファクトでは、まずCMO/CDMO事業の中で顧客の案件にまず本製造管理システムを実装し、次に遺伝子細胞製造を行っている国内外のCMOやバイオスタートアップ、メガファーマに提供・販売していくというものだ。
「現在の遺伝子細胞製剤の製造現場では、紙の記録紙を使用して、製造記録を管理することが多いと思うのですが、場合によっては製造だけでなく、製造周りも含めて数千枚に及ぶ紙の記録紙を管理する必要があり、記入ミスや紛失リスクを伴います。この理由としては、遺伝子細胞製剤の複雑な製造工程、また多様で膨大な製造に必要なマテリアルが原因です。これらの製造工程やマテリアルの管理、記録についてデジタル化し、クラウド上で統合管理する、すなわち遺伝子細胞製剤の製造管理のDX化を行うことで、コスト削減を達成するだけでなく、トレンド分析や将来的なCCP探索にも活用していくことが可能になります」(久保氏)
CIO兼ITユニット長の馬場正弥氏も、「CF4.0™は、遺伝子細胞製剤のCDMOで蓄積してきた知見を踏まえることで、細胞製剤製造プロセスのすべて、また細かな点をもカバーしており、リーズナブルなコストでIT負担を軽減して実装できるもの」と自信を見せる。
またサイト-ファクトは、製造と製造記録照査については、既に実用化されているFactoryTalk社が提供するクラウドMES(製造実行システム)「BatchLine」の日本の正規代理店として、導入から運用まで全面的にサポートも行っている。
遺伝子細胞製剤の製造やプロセス開発などにまつわる課題を解決してくれる、心強い味方となりそうだ。
【企業・団体名】サイト-ファクト
【URL】https://www.cytofacto.com
【展示会】再生医療JAPAN
【小間番号】R-45
【主な展示】遺伝子・細胞製剤のCMO/CDMO事業紹介、電子製造システムの展示やデモ
【会場内プレゼンテーション】10月10日(木)15:10-15:20 再生医療Stage 「遺伝子細胞製剤に特化したCDMOカンパニー、サイト-ファクトのご案内」
取材・文:GH株式会社 島田
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