小間番号: H-15
医療データの二次利用や標準化は世界的な潮流であり、日本においても医療データをアカデミアや製薬企業と共有する取り組みが加速している。
Yuimedi社は、「データを通じて必要な医療を必要な患者さんへ届ける」ことをミッションに、2020年11月に設立された。データ利活用インフラを整え、医療データの持つ価値が患者に還元される社会の実現を目指している。healthTECH JAPANでは、2025年5月に製薬企業向けにローンチした「症例探索アラート」や「OMOP変換」サービスなどを主に紹介する。
製薬企業が医薬品の処方状況や市場動向の把握、マーケティング戦略立案のために活用しているのがレセプト(診療報酬請求)データだが、レセプトには患者に処方された薬をはじめ傷病名などが記載されており、いわゆるリアルワールドデータ(RWD)の一形態として利活用されている。
ただし、レセプトの利活用には匿名化の作業に時間を要するため、リアルタイムなデータとはいえない。また、レセプトに保険診療に関わる診療報酬明細が記載されるため、実際の診療内容がすべて反映されているとは限らない。
さらに、レセプトデータは全国や地域単位で集計された形でのみ公開されるため、医療機関名や診療科ごとの情報までは把握できない。したがって、製薬企業の医薬情報担当者(MR)からすると、ある薬剤に関する情報提供を行いたいとしても、どの診療科の医師にアプローチすればよいか判断が難しいケースがある。
そこでYuimediが開始したサービスが「症例探索アラート」だ。Yuimediは医療機関と直接連携し、最短で週次ベースで症例データの収集・分析が可能な点が大きな特徴である。「症例探索アラート」はレセプトではなく電子カルテをもとにした統計情報を利用し、 患者の病態を把握する傷病名や検査結果だけでなく、検査や処置のような医療行為のオーダー状況やレセプトに反映されない情報も活用する。
これらを分析することで、製薬企業は自社製品の適応候補患者の所在を、より精度高く把握できるという。例えば、肺がんのセカンドラインの適応候補患者を探索したいときには、病名、ファーストラインで使用した薬剤名、副作用の発現についてアラート条件を設定することで、前の週にどの病院のどの診療科で該当患者が何名程度いたか、という通知が送られる。探索条件の設定は、製薬企業の要望に応じてYuimediの元臨床医や病院データに長けたコンサルタントとともに決定していく。
こうしたデータが週次で送信されることは過去にない頻度とのことだ。診療科の情報も含まれているため、どの診療科にアプローチすればよいか把握できるのも大きなメリットである。
healthTECH JAPANでは、製薬企業のMRや営業担当者との対話を通じて、想定できるシチュエーションや、要望するデータの量や質について情報交換したいとしている。
症例探索アラートを用いてYuimediが目指していることの一つが、未診断の希少疾患の発見だ。希少疾患の診断には専門知識が必要であり、診断されなければ適切な診療を受けることができない。
電子カルテを統計処理した情報をもとに希少疾患に該当する症状などを抽出できれば、希少疾患の可能性のある患者数を推定できる可能性がある。統計情報をもとに医療機関に情報を提供することで、医療機関としても診断の見落としを防止でき、患者に適切な医療を届けることが可能になる。診断数が集まれば、臨床研究の実施にもつながるだろう。
このように、医療データの活用を「院内に留まらず医療産業全体を通じて実施する」ことで、医療の質の向上、そして患者のQOL向上が実現すると、Yuimediは訴えている。
Yuimediが創業当初から行っているのが、医療データ標準化事業 だ。現在はその中でも、OMOP CDM形式へのデータ変換サービスを主軸に展開している。OMOP CDMはRWD分析のために設計された国際的な共通データであり、標準化された用語集を利用することで国・地域による同義語の揺れを統合しており、観察研究に扱いやすいとされている。
Yuimediでは、既存のデータベースに対してOMOP CDM変換ソフトウェアを用いてデータ変換を行い、作成したOMOP CDMを製薬企業に提供する。変換の際にはYuimedi所属の専門家によるマッピングだけでなく、AIによる自動マッピングも行うため、作業効率を大幅に向上させている。
社名のYuimediは「結」に由来し、医療データを患者・医療機関・製薬企業などの間で結びつける願いが込められている。医療データを結びつけて医療機関に効率よく働きかけることにより患者を救いたいと考える製薬企業は注目していただきたい。
【企業・団体名】株式会社Yuimedi
【URL】https://www.eirgenix.com/
【展示会】healthTECH JAPAN
【小間番号】H-15
【主な展示】製薬企業向け症例探索アラート、OMOP変換サービスの紹介
【セミナー】healthTECH JAPAN 出展者ピッチ DX支援サービス / ヘルスケア / デジタルヘルス
10月8日(水) Presentation Stage D 11:30 ~ 11:40